野点BLOG
美術家、きむらとしろうじんじんによる「野点(のだて)」が2年ぶりに新世界・西成エリアに帰ってきます!このブログでは、今年秋の野点開催に向けて準備の様子を日々アップしていきます。
西村米店前・野点感想文
- 2007/11/16
- category: みなさまからの声
今回、ジンジンの野点に参加した場所は西成区の動物園前商店街旧踏切付近の小さな空き地。
横には廃線になった線路に沿って鈍い銀色のフェンスが高く聳えている。
足場は瓦礫でゴツゴツ、連れて来た3歳の我が子は暴れ、嫁さんの友人はジンジンの出で立ちや場所の違和感に少々戸惑っている様子。
はたして、今回の野点はどうなんだろう?
自分も絵付けにいざ取り掛かろうとしたが、一向にアイデアが浮かばず、筆が進まない
これは一体どういうことか…
何がしかの違和感…。
そう、このあたりは昔は全国から建設労働者が集まり賑わったところ。
そうした人達が利用したであろう旅館や飲食店、そして何より、昔は現役バリバリだったであろう道行くおっちゃんおじいちゃんたちの姿がそうした街の独特の雰囲気を形づくっている。
僕自身、比較的近くに住んでいながら、こうした入り組んだところにまで入ったことはなく、ほとんど知らない。
そんな中を通って、何となく周りに圧倒されながら着いた、ジンジンに象徴される妙にのどかな野点の風景。
みんなは楽しめているんだろうか?そもそも楽しんでイイんだろうか?
おおよそ野点には相応しくないココを選んだジンジンの狙いは?
実際そう感じていた訳でもないのだが、その時、現場で感じた違和感とはそうしたものなんだろうと思う。
進まない筆に苛立ちと敗北感を味わいつつも、なぜか気になるのは空き地の一角のキレイに耕されて植えられたネギやハーブ類などの草花や昔ながらの旅館、ギャラリーのおっちゃんなど。
そうこうして絵付けも諦めてジンジンに焼いてもらうことにした。
焼き上がる間にも、つい野点の現場よりも周りの雰囲気を味わいに行ってしまうのだった。
商店街のアーケードの下に、飲み屋、スーパー、くたびれた自転車に何の袋かいっぱい積んだおじいさん、雑貨屋、薬屋、道端に座るおっちゃん、パチンコ屋、昔からずっと商売に励むおっちゃん、おばちゃん、そして道の外れに飛田遊郭…。
ようやく時間が潰れた頃、来た道を戻りまた野点ののどかな現場へと帰る。
あぁ、そうかー。
この空き地の一角に地域の誰かが草花を植えたように、ここで野点をしようとジンジンが感じ、地元の人が野点をして良いよ、と思った結果なんだ。
ここで野点、絵付け、器を愛でることが肝心で、長くここで暮らしてきた人たちがその様子を見たり、参加したり、時には文句も言って貰う。
ただそうすることが重要なんだ。
それがわかり、そう感じることができたのは凄く貴重で、楽しくなる経験だったんだな、と思う。
違和感をそのまま反映したような、この僕の器のデキも許していいかなと思った。
みなさん、おつかれ様でした。
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