絶滅危惧・風景 - BreakerProject.net

breakerproject.net
10

都市の中心部にありながら昔ながらの町並みや人情、昭和のたたずまいが残るまち。その失われつつあるまちの風景に介入、作品化するプロジェクト。8月からアーティストのリサーチ、制作をスタートし、2011年2月26日より大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室にて展覧会を開催します。

[project data]

レポート:西尾さんリサーチ報告 vol.2

2010年11月3日

research_oldphoto
research_oldphoto

research_oldphoto
research_oldphoto

research_oldphoto
research_oldphoto

前回あまり拝見できなかった昔の写真を引き続きリサーチ。

今回は50年~15年ほど前の写真を何枚か拝見することができました。
その中には、偶然にもいつもプロジェクトに協力いただいている方3名が同級生ということで写っている松虫中学校の40年ほど前の卒業アルバムも。
中学生の頃の姿をまさか拝見できるとも思っておらず、とても不思議な気持ちです。

このまちは、お商売をされている方が多く「忙しかったから写真撮る暇なかった」と、なかなか地元で撮っている写真が無いとのこと。
それでもいくつか通天閣の昔の姿やまちの風景が写りこんでいる貴重な写真に出会うことができました。
今も変わらない新世界夏祭りの様子、通天閣の真下に水族館があった発見、通りを行きかう人々…変わらないものと変わっているもの、まちの変遷を見る思いです。

そんな中、50年ほど前に撮られたという新世界市場の仮装行列の写真。
見せてくれたのは、新世界市場内にある「中山菓舗」のご主人。お話によると、昔、各店舗の店主が演者となり、市場の宣伝のために仮装行列を毎年節分の日に行っていたのだとか。
写真に写っている方は、みな本格的な衣装にメイクをしていて、そのクオリティの高さに驚き。
新世界は、芸者が多いまちであったり、歌舞伎座が近くにあったこともあり、本格的だったのだろうと教えてくださいました。

8年目となる本プロジェクトですが、仮装行列が行われていたことは、初めて知った情報…まだまだ知らないことがたくさんです。
とっても貴重な写真やアルバムに出会うことができましたが、次回も引き続き、写真のリサーチを続けます。

西尾美也

1982年奈良県生まれ、 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程在籍中
装いの行為とコミュニケーションの関係性に着目し、市民や学生との協働によるプロジェクトを国内外で展開する。2009年には西尾工作所ナイロビ支部を設け、アフリカでのオルタナティブなアートプロジェクトに着手している。近年の主な展覧会に2008年「日常の喜び」水戸芸術館現代美術センター(茨城)、2009年「コスチューム・イン・プレイ」松本市美術館(松本),「From Laboratory to Project」New Museum Weimar(ドイツ),「越後妻有アートトリエンナーレ2009」(新潟),「ESTUAIRE2009」 Saint-Nazaire(フランス),「Self Select in Nairobi」RaMoMA (ナイロビ)、2010年「レゾナンス共鳴」サントリーミュージアム[天保山](大阪),「『Overallプロジェクトinナイロビ』帰国報告展」AITルーム[代官山] (東京),など多数。
http://yoshinarinishio.net/

下道基行

1978年岡山県生まれ、2001年武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業
日常に潜む創造的な営みを再編集し作品化していくことで身の回りで見過ごされている価値を掘り起こしていくアーティスト。代表的な作品として、2005年に発行された写真集『戦争のかたち』(リトルモア発行)や『日曜画家/Sunday Painter』など、フィールドワークという手法で作品を制作する。2007-2008年Cite International des Arts 滞在 (フランス/パリ)、2010-2011年Tokyo wonder site Aoyama 滞在中 (東京/青山)。近年の主な展覧会に2009年「Air/空」梅香堂(大阪),「第一回 所沢ビエンナーレ美術展『引込線』」 西武鉄道旧所沢車両工場(埼玉)、2010年「RIDER HOUSE」Mac AOMORI(青森)・かじこ(岡山) , 「日曜画家/Sunday Painter」水戸芸術館クリテリオム79(茨城),「TOKYO PHOTO 2010」(東京),「岡山美の回廊」岡山県立美術館(岡山),「共鳴する美術」倉敷市立美術館(岡山),など多数。
http://m-shitamichi.com/

絶滅危惧・風景

2009年度に引き続いて「失われつつあるまちの風景」に焦点をあてたプロジェクトを実施します。今回も作品の舞台となる、新世界、西成(山王・飛田・太子)地域は、都市の中心部にありながら、昔ながらの町並みやコミュニティなど、昭和のたたずまいが残っていますが、建物の老朽化や住民の高齢化などの理由により、この数年で急速に様変わりすることが予想さるエリアです。その失われつつあるまちの風景をアーティストが地元住民と制作プロセスを共有しながら作品化していきます。また、今年度は市民に開かれた新たな美術館の在り方を探る大阪市立近代美術館(仮称)と連携し、心斎橋展示室にて2009年度の参加アーティストの作品とともに展示する予定です。

  • *主催:大阪市
  • *助成:財団法人地域創造/財団法人文化・芸術による福武地域振興財団
  • *協力:新世界町会連合会/新世界市場商業協同組合/通天閣本通商店街/ジャンジャン横丁/豊年食品株式会社/新世界援隊/山王社会福祉協議会/社会福祉法人山王みどり会/山王女性会/山王連合振興町会/飛田連合振興町会/飛田地区商店街連合/飛田新地協同組合/飛田新地料理組合/大阪電気通信大学/他作品制作等に協力いただいた皆様(順不同)
  • *企画・運営:ブレーカープロジェクト実行委員会/(財)大阪城ホール文化振興部
  • *プログラムディレクター:雨森信 *事務局:松尾真由子/的場久実
©Breaker Project.net