“アー”ツクール つれズレなるまま - BreakerProject.net

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地域に根ざした作品、活動、しくみを生み出すアートプロジェクトの実験
「まちが劇場準備中」

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会期中のお手伝いいろいろ

こんにちは、メンバーの八木です。
土曜・日曜の通天閣スクエアと、金曜日にはプライベートプラントアーカイブでのお手伝いをさせていただきました。さらに、土曜日のトークでは、僭越ながら前でお話させていただきました。ちょっとしたレポートをさせていただきたいと思います。


■土曜日

土曜日「通天閣スクエア」での「歴史はつづくよどこまでも」にトーカーとして参加させていただきました。もうひとりメインのトークゲストである山田創平さんのお話はたいへん丁寧で、古代まだこのあたりが海の底だった時代から、近代の都市化にいたるまで、「都市の周縁性」をテーマに、新世界・西成について語られました。まさに「歴史はつづくよ」というテーマにぴったりのお話です。

まず、歴史の話に入るまえに地域の歴史をみる視点として、最初に「差異」の認識というお話がなされました。「人は差異を受け入れ、自ら差異を生み出す。都市という空間はそうした差異の認識によってつくられる。つまり、その場所で行動するには理由があって、ただなんとなく行動するにしても、人は無意識的にその場所性を感じ取って行動している」。いっけん地理学とは関係のなさそうな、ちょっと哲学的?な見方なのですが、それが都市という空間をとらえていく上で、とっても重要なんだということが、具体的にイメージでき、たいへん勉強になりました。

地域というのは、さまざまな都市開発の結果としてつくられるのだけれども、そこに身体感覚で何かつくったり表現できるアーティストが関わることで何かが変わったりすることがあるのだろうか。いろいろ楽しそうで面白そうなことが起こりそうだし、これまでもそんな光景をこのまちでみてきたわけですが、けれども、そうしたアーティストが関わる以前に、地域にはさまざまな立場から場所性を感じ取って関わっているたくさんのひとたちがすでにいて、すでに単なる二項対立として語れないんやな、と山田さんや藤さんのお話をきいていて感じました。

いっぽうの八木なのですが、八木がこれまで、社会学という視点から、新世界という地域・商店街をフィールドワークしてきた経緯について、報告させていただきました。急遽、地元新世界の商店街の方をお招きし、客席からコメントをいただきました。僕自身たいへんお世話になっている方で、たくさん笑いをとっていかれました。あとから僕にも「もっと笑いとらなあかんで」とアドバイス?していただきました。あまり山田さんのお話との関連性、つながりをつくれなかったという自分なりの反省点も残りましたが、有意義な時間だったと思います。



■金曜日.その1

変わって、金曜日には「プライベートプラントアーカイブ」の会場のお留守番を三時間ほど任されました。会場は、制作されたパラモデルのアトリエ。ここは、柳本商店の元倉庫。パラモデルの林さんが撮られた植木の写真がずらっと展示されています。

日曜日のトークでも林さんが、大阪の下町には植木がとても多くって、とくにこのまちには個性的な植木を目にかけるとおっしゃってました。僕も、何度も何度も歩いているまちなんですが、改めて気付かされたという思いです。

風よけのビニールシートを拭き掃除していると、おとなりの柳本商店の従業員の女性のかたに「ちょっと手伝って」と声をかけられ、植木をブロックの上へあげるお手伝いしました。長方形の大きな植木で二人がかりくらいでないと持てないと思ったのですが、ブロックから植木をおろしたときは、ひとりでやったとおっしゃってました。すごい。

ほどなくして、ひとりの男性が興味をもってみてくださったので、中へご案内しました。
つづいてお隣にお住まいの女性とお友達、自身の家の植木のことも嬉しそうに話してくださいました。
さらに、以前に拠点のまえをとおって、知ったという二人組。「新世界の喫茶店にチラシ置いておいたよ」と声をかけてくださいました。
金曜日の朝、全部で6名のお客さんがこられました。平日のこの時間帯としては過去最高の人出でしたが、となりの酒店のお客さんから、「ぜんぜん人けえへんなあ、観光客なんてけえへんもんなあ」と言われました(笑)。

とてもいい天気で、12月とは思えない陽気でした。いい天気にさそわれて、ついつい倉庫の外へ出てしまいます。
お店の方が自然と店前の路地に出てこられる感覚ってこんな感じなんでしょうか。ボール遊びをしていた男の子たちのボールがこっちへ来たので受け取って返してあげると、「ありがとうございました」とお辞儀をしてくれました。



■金曜日.その2

お昼にはマメゲキに戻り、ちょっと長い休憩。
夕方になって、知り合いがマメゲキを訪ねてきてくれたので、みじかい時間でしたが案内しました。

といっても僕自身、今回、関わっていながらも、デコポリをはじめ、まちのあちこちにある展示作品などをみるのはこの日がはじめてだったりしたので、それ自体楽しみでした。「夢の鳥」を飾ったり、「キャッスル」を展示することによって、まちの見え方が変わる。さらにそれだけじゃなくて、藤さんがおっしゃっていたことですが、「誰と街を歩くかで、街のみえかたが変わってくる」んやなと強く思いました。

デコポリを探しながら商店街の装飾の面白さに気づいたり、「ここで新しい帽子を買った」と自慢したり、飛田の町並みにちょっとびっくりしているようすを横で感じ取っていたり・・・。ひとりで歩いているとき、地元のかたと歩いているとき、ブレーカーのスタッフと歩いているとき、何かを考えながら歩いているとき、友達と歩いているとき・・・。まちに対する接し方の違いと、そのまちがもっている場所性の関係を、感じ取りながら、まさに自分たちがいま「演じながら」歩いているんやな、ということを思いました。

作品をみる、というよりもやっぱりまちを歩いているんやな、という感覚がとても楽しい。もちろん悪い意味ではなくって、です。観光とはまたちょっと違うまちとの関わりかたを、来てくださった方がたが感じとってくれたのかなと思います。

藤 浩志

アートの概念を美術史の中に位置づけるのではなく、「社会的に価値を認められていない存在(意識)を特別な存在として立ち上げるテクノロジー」として捉え、「地域資源、適正技術、協力関係」を活用した提案(デモンストレーション)型の表現活動を試みる。地域社会における対話と実験の現場をデモンストレーションという手法で立ち上げ、そこから発生するイメージの連鎖を重要視する。
http://www.geco.jp/
long interview [log-osaka]

まちが劇場準備中

2008年度は、ナビゲーターに美術家・藤浩志を迎え「地域に根ざした作品、活動を生み出す」ための実験として、約半年かけて新世界、西成周辺のフィールドワークを行います。そこから様々な「ズレ」を発見しつつ、対話を重ねることで立ち上がってきたプロジェクトを、まちを舞台に展開します。「まちを劇場にみたててシーンをつくっていく」また「日常の面白さをシーンとして再発見していく」そして、このプロジェクトはイベントではなく、「次につながっていくプロセス」ということで、タイトルは「まちが劇場準備中」。

  • *協力:(財)西成区コミュニティ協会/大阪市立デザイン教育研究所/大阪芸術大学教職員組/新世界町会連合会/新世界市場商業協同組合/通天閣本通商店街/ジャンジャン横丁/山王社会福祉協議会/山王女性会/山王連合振興町会/飛田連合振興町会/飛田地区商店街連合/飛田新地協同組合/飛田新地料理組合/通天閣観光株式会社/豊年食品株式会社(順不同)
  • *主催:ブレーカープロジェクト実行委員会/大阪市
  • *助成:(財)地域創造
  • *企画:雨森信
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