“アー”ツクール つれズレなるまま - BreakerProject.net

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地域に根ざした作品、活動、しくみを生み出すアートプロジェクトの実験
「まちが劇場準備中」

[project data]

レポート:オープンミーティング03+そうじ2日目

写真1 写真2 写真3 写真4 前日に引き続き、プロジェクト拠点のそうじ2日目。
この日は、合わせてオープンミーティングも開催しました。
まずは、お披露目も兼ねて拠点での集合となりました。

1階は、2畳ほどの広さの事務所を備えた店舗スペース。
もと煮豆屋さんであるだけに、大きなガスコンロや鍋が当時のままたくさん残っているのが特徴です。2・3階は住居スペースとして、キッチンや和室などがあり、かなりゆったりとしています。以前は従業員の更衣室として使っていたらしく、大量のロッカーが部屋を占領しています。
今後、1階は事務所に加え、カフェとギャラリーを併設して、誰でもが足を運んでもらえるスペースに。2階はミーティングルームや制作スペース、3階はアーティストが滞在して創作活動ができるようなレジデンスへと機能していけるようにしていこうと考えています。
長らく空き店舗としてあったこの場所を、プロジェクトメンバーの皆さんがアートプロジェクトの拠点としてどう変貌させていこうかと、いろんな所を覗いたり、触ったりしながら、それぞれに想像を巡らせているのが印象的でした。

予定では、拠点見学の後すぐに太子福祉館に移動してミーティングを行うことになっていたのですが、藤さん含め「そうじ!」と意気込んで来られていたのか、あれよあれよと拠点の空間作りが始まりました。(写真1)
前日は男手も少なかったこともあり、壁磨きなどの作業が大方だったのですが、この日は藤さんの指揮のもと2・3階にあったロッカーがどんどん1階に運ばれていきます。(写真2・3)このロッカーを横に倒すと、スペースの仕切り兼テーブル兼フライヤーラックに早変わり!その場所にあるものをうまく利用しながら、皆で汗を流しての空間づくりは、プロジェクトがいよいよ本格稼働したことを実感させます。

動き出すとどんどんやってしまいそうになるのですが、この日のミーティングでは、アイデアを発表してもらい具体的に落とし込んでいかなくてはならない大事な作業があるので、後ろ髪ひかれる思いではありますが一旦ミーティング会場に移動することにしました。

ミーティングでは、前回までにあがっていた飛田会館3階のそうじ、マップ制作、商店街を使った吊りもの系のワークショップについてのチーム作りやスケジュールについての話し合い、そして、その他の具体的なアイデアを発表してもらいました。(写真4)

皆さん、フィールドワークや勉強会、散歩などに参加されて湧いてきたイメージをプランに落とし込んでいました。
その一つに藤さんの大学時代の同級生でもあり5月から参加してくださっている高橋さん(美術家/京都市立芸大准教授)は、「西成での新しいルート作り」と「異なった種類の人たちが出会い共創する場づくり」の為の映画プロジェクトを提案してくださいました。
フィールドワークの時も感じたのですが、この地域は道路や商店街を挟んだ区画ごとにそれぞれが独自に発展していて、それは区画ごとの個性を発揮している面もあるのですが、その境界線を越えての交流がなかなか無いそうです。
そこで、違うコミュニティの人たちが出会うキッカケとなる装置、状況構築としての映画制作により上記にあげたルート作りや場づくりができればとの提案です。
昔は映画館がたくさんあったこのまち。今では国際劇場一つになってしまいましたが、その土地での映画づくりは、とてもしっくりと尚且つ新しい視点の提案として面白いものになるのではないかと思いました。

そして、もう一つのプランは、藤さんが「リキシャが今、富山県にある。」と言った一言でできたプロジェクト。
このリキシャ(人力車)はベトナムのもので、過去に富山県の知人から譲り受け、そのまま置いてある物だそうです。そのリキシャを大阪まで漕いで運んでくるという提案に、ミーティングに初参加の芸大生堀内くんが手を挙げ、実現化していけそうなプロジェクトとなりました。

他にもまだまだ提案されたプロジェクトはあるのですが、それは追々このブログでレポートしていこうと思います。


藤さんのブログでもレポートがアップされています

藤 浩志

アートの概念を美術史の中に位置づけるのではなく、「社会的に価値を認められていない存在(意識)を特別な存在として立ち上げるテクノロジー」として捉え、「地域資源、適正技術、協力関係」を活用した提案(デモンストレーション)型の表現活動を試みる。地域社会における対話と実験の現場をデモンストレーションという手法で立ち上げ、そこから発生するイメージの連鎖を重要視する。
http://www.geco.jp/
long interview [log-osaka]

まちが劇場準備中

2008年度は、ナビゲーターに美術家・藤浩志を迎え「地域に根ざした作品、活動を生み出す」ための実験として、約半年かけて新世界、西成周辺のフィールドワークを行います。そこから様々な「ズレ」を発見しつつ、対話を重ねることで立ち上がってきたプロジェクトを、まちを舞台に展開します。「まちを劇場にみたててシーンをつくっていく」また「日常の面白さをシーンとして再発見していく」そして、このプロジェクトはイベントではなく、「次につながっていくプロセス」ということで、タイトルは「まちが劇場準備中」。

  • *協力:(財)西成区コミュニティ協会/大阪市立デザイン教育研究所/大阪芸術大学教職員組/新世界町会連合会/新世界市場商業協同組合/通天閣本通商店街/ジャンジャン横丁/山王社会福祉協議会/山王女性会/山王連合振興町会/飛田連合振興町会/飛田地区商店街連合/飛田新地協同組合/飛田新地料理組合/通天閣観光株式会社/豊年食品株式会社(順不同)
  • *主催:ブレーカープロジェクト実行委員会/大阪市
  • *助成:(財)地域創造
  • *企画:雨森信
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