“アー”ツクール つれズレなるまま - BreakerProject.net

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地域に根ざした作品、活動、しくみを生み出すアートプロジェクトの実験
「まちが劇場準備中」

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レポート:大阪的植木?!

写真1 写真2 写真3 写真4 大阪だけに限られるか定かではありませんが、住宅街の細い路地などに入ると、家の前に積み上げられ路上にまではみ出して設置されている植木をよく目にします。
家の前のスペースを最大限に活用、縦へ横へ前へと陳列されている植木たち。この自己主張の強い、なんとも大阪的な植木をつかって作品を制作していけないかと、フィールドワークを行った時に参加したアーティストから提案されました。

地元でも有名な植木やガーデニングの達人がいないか?以前から懇意にさせていただいているある地元の方へお話を伺いました。
すると、その方が挙げてくださったのは、ある植物が大輪を咲かせている路地裏の一角と、昨年の野点開催場所でもある米店前の空き地(店主のおじさんが草花のお手入れをされている)で、事務局が前々から気になっていたものと同じでした!
前者は、商店街から一本路地に入った住居エリアの中にあり、大きな花が特徴。(写真1)近所の方がお世話をされているトランペットフラワーという名前の木で、近づくとほのかにジンジャーの香りがする花でした。(写真2)
すぐ近くのフェンスの中にもいろいろな草花が育てられており、密集した都会の住宅環境の中でも人は隙間を見つけて、暮らしの傍に植物を愛でていたいものなのだと感じました。

他にも植木に関係して面白かったのが、通天閣3階から眺めた時に発見した屋上庭園の多さです。一軒や二軒だけでなく、明らかに通天閣から眺められることを意識していると思われる数の、丁寧に手入れされた庭が存在していました。
新世界でこんなにも屋上緑化が進んでるとは・・・新たな発見です!(写真3・4)
通天閣というシンボルからの視点というのも、新しい視点として今まで気づいていなかったものに出会うキッカケになり、面白く展開することができそうです。

「植木」というものに視点を絞ってまちを歩いてみると、いつもは見落としていた風景が立ち上がってきて、様々な切り口によって、まちの表情は幾重にも変わることが分かりました。その切り口は、「植木」だったり、これから生まれてくる作品だったり、このプロジェクトに参加している一人ひとりなのかもしれません。
まだまだいろいろな魅力を掘り起こすことが出来そうなこのまちでどんな表情を作っていけるのか楽しみです。

藤 浩志

アートの概念を美術史の中に位置づけるのではなく、「社会的に価値を認められていない存在(意識)を特別な存在として立ち上げるテクノロジー」として捉え、「地域資源、適正技術、協力関係」を活用した提案(デモンストレーション)型の表現活動を試みる。地域社会における対話と実験の現場をデモンストレーションという手法で立ち上げ、そこから発生するイメージの連鎖を重要視する。
http://www.geco.jp/
long interview [log-osaka]

まちが劇場準備中

2008年度は、ナビゲーターに美術家・藤浩志を迎え「地域に根ざした作品、活動を生み出す」ための実験として、約半年かけて新世界、西成周辺のフィールドワークを行います。そこから様々な「ズレ」を発見しつつ、対話を重ねることで立ち上がってきたプロジェクトを、まちを舞台に展開します。「まちを劇場にみたててシーンをつくっていく」また「日常の面白さをシーンとして再発見していく」そして、このプロジェクトはイベントではなく、「次につながっていくプロセス」ということで、タイトルは「まちが劇場準備中」。

  • *協力:(財)西成区コミュニティ協会/大阪市立デザイン教育研究所/大阪芸術大学教職員組/新世界町会連合会/新世界市場商業協同組合/通天閣本通商店街/ジャンジャン横丁/山王社会福祉協議会/山王女性会/山王連合振興町会/飛田連合振興町会/飛田地区商店街連合/飛田新地協同組合/飛田新地料理組合/通天閣観光株式会社/豊年食品株式会社(順不同)
  • *主催:ブレーカープロジェクト実行委員会/大阪市
  • *助成:(財)地域創造
  • *企画:雨森信
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