地域に根ざした作品、活動、しくみを生み出すアートプロジェクトの実験 「まちが劇場準備中」
レポート:外の視点とは?~バックパッカーの現状について~
- 2008/08/11
- category: 事務局レポート
前回のオープンミーティグで、ふと湧き上がってきたアイデア、「バックパッカー視点」。
まちにアートプロジェクトが関わることで、何が生まれるのか?
ディスカッションを行っている中で、内と外の視点の差についての話が出てきました。
西成や新世界と一括りに言っても、そこに住んでいる人達には、外からは見えない様々な事情を抱えた境界線があったりするようです。
しかし、このまちに興味を持ち集まってきた人(私)達がまちに関わり、生まれた作品で地域のボーダーを越えていけたら…地元の人達にとっては意外と思われるような視点をつないでいくことで、何か新しい価値観を生み出せるキッカケになるかもしれません。
そんな「外の視点」とは?
西成は、労働者のまちとして広く知られています。しかし、ここ最近は低価格の宿泊施設を求めて、海外から20~30代を中心としたバックパッカーの若い人たちが簡易宿所によく訪れるようになりました。彼らの視点というのも「外の視点」と言えるのではないかということで、簡易宿所のひとつであるホテル経営者の方にバックパッカーの現状についてお話を伺いました。
元々、利用者の対象は労働者だったのですが、バブル崩壊後の不景気により客足が減り、新しい客層を取り込むため、2000年頃にホテルのHPを作られたそうです。
それにより国内の学生やビジネスマンはもとより、日本語を勉強しているアジアの学生などの利用が見込めることが分かってきました。そこで、さらなる需要拡大をめざして、英語・中国語・韓国語版の案内もHPに。今では、多いときとなると利用客の4~5割が外国人旅行者だそうです。
安宿を目当てにやってくる彼らですが、今後は、新世界や西成の商店街にも足を向けてもらえるようにと、商店街とも連携して、英・中・韓国語のメニューやマップなどを作っていきたいと仰っていました。ホテルのロビーには、商店街内の着物屋の浴衣をディスプレイしたり(写真1・2)、英語で書かれた案内(写真3・4)など、外国人に対応したサービスがありました。
その他にも、大学の観光科の学生たちがよく研修に来るようです。
個人旅行者はその動向が把握しにくいものですが、個人旅行者が多く占めるこのエリアのホテルは、学生にとっては研究対象の宝庫。ホテル経営者側にとっても、学生や教授から教わることが沢山あるそうです。
現在は、観光会社と学生が連携し、日本人とバックパッカーの交流会を企画されているとのことでした。
ホテル経営者の方たちも、バックパッカーの視点を取り入れ、彼らが宿泊日数を延ばしたいと思うような面白いまちづくりをしていきたいと意欲的でした。
このまちで暮らしている訳ではない私たちが、アートでもって、魅力を感じるこのまちに関わっていく。外の者だから見えないことと、外の者だから見えること。そんなことを丁寧に掘り下げながら、まちを「触って」いけたらいいなぁと思います。
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